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インディーズ官能小説作家・沢見独去のブログ

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人妻たちの饗宴 The Old Crow Bar (13)

あけましておめでとうございます。

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無料連載の官能小説です。郊外のバーを舞台に、マスター裕次と、さまざまな人妻たちの関係を描きます。今回から新たな章に入ります!

次回は1/5に公開します!

下の続きを読むからご覧ください。

人妻たちの饗宴―The Old Crow Bar』 (13) 沢見独去



第4章 沙織・二


 今宵、店を開けて一番にやってきたのは、意外な客だった。
 沙織の夫だ。
 ひとりでドアを開け、カウンターに座った。
 あいかわらず絵に描いたような官僚スタイルだった。
 前回と同じ国産のスコッチの水割りをオーダーし、疲れたように小さなため息をついた。

「珍しいですね。奥様と待ちあわせですか?」
「あ、いや。今日はちょっとひとりで飲みたくてね。会社から帰る途中にここを思い出したんだ」

 酒を目の前に出しながら、裕次はにこやかに笑った。

「そうですか。どうぞゆっくりしていってください」

 沙織の夫は鷹揚にうなずき、水割りを一口あけた。
 しゃべりかけてほしくない客がいる一方、しゃべるきっかけを探している客もいる。彼は後者だ。
 さりげなく前に立ち、グラスを拭いているふりをしていると、やはり彼が口を開いた。

「妻はこのごろよく来ますか?」

 あたりさわりない返事をする。

「最近、いらっしゃらないですね……」
「……そうですか。仕事が忙しいので、妻をあまりかまってやれません。申し訳ないと思ってるんですが……」

 彼は苦笑し、またスコッチの水割りをあおる。
 仕事はたしか中央省庁の官僚だ。ほとんど家にいないと、沙織はこぼしていた。

「それは奥様はお寂しいでしょうね。しかし、ご主人の稼ぎがあってのことですから……」

 ――沙織が寂しいのはおれが慰めてますから。
 そんな言葉はもちろん、頭の中だけに留めておく。

「まあね……あ。おかわりください。同じスコッチでなにかおすすめはありますか」
「では、国産もおいしいですけど、スコッチですから、スコットランドのものにいたしましょうか。飲み方はどうされます?」
「まかせます」
「ではロックにいたしましょう」

 ロックアイスをグラスに入れ、グレンフィディックをそそぐ。軽くステアして、彼の前に置いた。いつも水割りで呑んでいるようなので、チェイサーも出す。
 彼は一口呑むと、頷いた。

「うん。うまい」

 しばらくカウンターの奥に並ぶ酒瓶を眺めながら、ぼんやりとスコッチを味わい、それからグラスの丸い氷を見つめながらつぶやいた。

「実は……イギリス大使館に出向することが、決まりましてね……妻にはまだ言えてません」
「……そうですか。長いんですか?」
「最低二年は帰ってこれないでしょう」

 グレンフィディックをあおる。ロックアイスが、からんと音を立てる。

「妻の沙織には、苦労をかけるけど、ついてきてほしい。でも、この話を切り出すと、断られそうで……」

 裕次は自分のぶんのスコッチをグラスにそそぎながら、頷く。

「それで、悩んでいらっしゃると」
「あいつは、ついてきてくれるだろうか……」

 最期は消え入るような声でそう言うと、酒を呑み干した。
 裕次は新しく同じものを作ると、彼の前に出した。

「店からのおごりです」
「ありがとうございます……こんなことをマスターに言っても、しようがなかったですね」

 彼が苦笑いを浮かべる。
 裕次はその目を見つめて、言った。

「いえ。何でもおっしゃってください。おれが思うに、奥様は大丈夫ですよ。それに、おれが偉そうに言うことじゃないですけど、女を時には強引に誘うのも、いいんじゃないですか」

 裕次の前でさまざまな男女たちが、さまざまな悩みや相談を口にする。しかしそれは、裕次の答えを聞きたいのではない。答えはグラスの中にあるのだ。つまり、もとから彼らの心の中に、求めているものはあるのだ。

「いらぬ愚痴をお聞かせしました」

 なにかを決意した顔になって、沙織の夫は帰っていった。
 裕次もグラスに残ったスコッチを飲み干し、仕事に戻った。


 翌週、珍しく沙織からメールが来た。店の定休日は体が空いているかと聞いてきた。何も用事もなかったので、そう返信すると、家に来てほしいと言う。手料理をご馳走したい、と。
 彼女の家に行ったことは、もちろん一度もなかった。教えられた住所に、約束の夕方五時に到着する。
 右手には手土産のチリ産の赤ワインと、とっておきのブルーチーズ。
 沙織の家は、同じようなデザインの一戸建てが建ち並ぶ住宅地にあった。二階建ての今風のデザインの家だ。
 裕次がインターフォンを押すと、笑顔の沙織が出迎えた。
 リビングルームに通される。そこは十二畳ほどの空間になっていて、洒落た対面型のシステム・キッチンが奥にある。

「珍しいね。沙織が自宅に呼んでくれるなんて」

 赤ワインを嬉しそうに受け取りながら、彼女が答える。

「主人が出張であさってまでいないの。せっかくだからマスターに手料理を食べてもらおうと思って」
「それは楽しみだ」

 栗色の髪を茶色のシュシュでポニーテールにしている。ゆるくウェーブのかかった毛先が、まさに馬の尻尾のように揺れている。服は黒のアウターキャミに、オフホワイトの丸首のカーディガンを、前をとめないで羽織っている。下は体にぴったりとした白の七分丈のパンツをはいている。いつも店で見る時よりは、薄い目の化粧。
 手土産の赤ワインを早速あけ、リビングのソファに座ってしばらく談笑する。
 ベージュを基調とした、さりげなく趣味のいいインテリアは、沙織の好みだろう。きれいに整頓されている。

「ちょっと早いけど、夕食用意するね。マスターはここで呑んでてください」

 沙織はキッチンへ入っていった。
 薄いブルーのエプロンをして、調理を始める。
 こちらを向いて調理するタイプなので、その美しい顔が常に目に入る。

「やだマスター、そんなに見ないで」
「いや。見るだろ、ふつう。こんなに魅力的な奥さんが、おれのために料理してくれてるんだから」

 その言葉に沙織は、料理の手を動かしながら、照れたように笑った。
 裕次はそれにたまらない興奮を覚える。ふと、いたずら心が浮かび、にやりと微笑んだ。

(つづく)

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プロフィール

Author:沢見独去

      
電子出版で、自作の官能小説を発表しています。小○生ものをこっそり書いていたのがばれてamazon KDP(Kindle ダイレクトパブリッシング)から追放されて放浪中。

 
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